2024年度日本血栓止血学会岡本賞の応募が始まっています

今年で第8回となる岡本賞の応募が始まっています。岡本賞は、血栓止血学に多大な貢献をされた岡本彰祐先生、岡本歌子先生のご好意により設立された賞で、「Shosuke Award」と「Utako Award」があり、人類の幸福に寄与しうる研究者を顕彰することを目的としています。2024 年度は11月20日が締め切り日となっていますので、奮って御応募下さい。

応募規定はコチラ

本年度の岡本賞(第7回)は後藤信哉先生と森下英理子先生が受賞されました

「Shosuke Award」
Antithrombotic Therapy in Cardiology
-Systemical Improvement of Standard of Care for Patient Population to Personalized Medicine-
後藤 信哉(東海大学医学部内科学系循環器内科学)

「Utako Award」
Pathophysiological analysis of hereditary thrombophilia – Bedside-to-bench
森下 英理子 (金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻)

“救える命を救うために”―Ian Roberts氏からの協力依頼

Ian Roberts氏は、2019年の川崎市登戸通り魔殺人事件の時、トラネキサム酸を現場で投与できなかった日本の救急医療の現状を憂い、当時の総理大臣安倍晋三氏に手紙を書かれました。そして、トラネキサム酸の救急の現場での使用が日本ではまだ実現できないうちに、今度はその安倍氏が凶弾に倒れたことに強い衝撃を受け、氏の講演スライドを少しでも多くの日本人に見てもらい、トラネキサム酸の救急車での使用ができるよう働きかけてほしいと講演スライドを我々に託されました。ご一読の上、この課題の実現のために手をお貸しください。

*なお、英語より日本語が好きだという方のために、日本語抄訳を入れてみました。意訳に努めましたが、誤訳もあるかと思います、気づかれた方はご連絡いただければ訂正いたしますので、よろしくお願いします。<連絡先はコチラ

安倍晋三氏への手紙

原本

日本語訳

Ian Roberts氏 講演スライド (49回日本集中治療医学会学術集会 2022)

原本

日本語訳

映画《Her Life Matters》前史ー未来に続く歴史のためにー

愛読していた小説が映画化され、友人と映画館に見に行ったとする。原作を読んでいない友人は涙を流さんばかりに感激している。しかし、映画に感激しながらも、原作と違うぞ、と争っている自分がいる。私は今それと同じような葛藤の中にいる。

トラネキサム酸(TXA)の産科出血などへの使用を全世界に普及することを目的に映画は作られた。その今日に至るまでの60余年について、情報の取捨選択が行われ、全体をわかりやすくするために事実と違うと認識されかねない記載が生まれていたとしても、それはやむをえないことで、そのために映画の評価が下がることはないのであろう。言いかえれば、TXAがIan Robertsらに出会うまでの半世紀についての追加情報を提供していくのは、映画制作者ではなく、それを知っている他の者の仕事であろう。

筆者らを含むこのHPの責任者は、当時を経験した者ではないが、とりあえず、岡本彰祐・歌子の著書や彼らから直接聞いた話をたどってこの小文を綴る。その時代を直に知っておられる諸先輩によりその訂正と追記を書き足していただけることを期待して。

トラネキサム酸のドキュメンタリー映画 “Her Life Matters”が公開されました

1950年代に岡本彰祐・歌子ら日本人研究者により創出されたトラネキサム酸(http://okamoto.th-project.org/research-2/)。2010年代にはイアン・ロバーツらの大規模臨床研究(CRASH-2:外傷性出血、WOMAN-trial:産後出血、CRASH-3:外傷性脳損傷)によりその効果が証明されたが、開発途上国では産後出血による妊産婦死亡はいまも続いています。トラネキサム酸が病院の薬局にない、家族に高額な医療費が請求される、政府に働きかけて入手できるようにしても医師が処方しない、そのため製薬会社がその国での販売をやめる、という事態の中で妊婦が亡くなっています。基礎研究者による創薬、臨床治験での検証、現場での使用という新薬の開発利用のリレーにおいて、どの国、地域でも、最終走者がバトンを持って走りださなければならない、そのためのドキュメンタリー映画“Her Life Matters”がロバーツらの尽力により、日本語字幕とともに完成しました。

英語版: https://www.herlifematters-documentary.com/

日本語字幕版: https://vimeo.com/615817182

2022年度日本血栓止血学会岡本賞の応募が開始されました

日本血栓止血学会は、血栓止血学に多大な貢献をされた岡本彰祐先生、岡本歌子先生のご好意により、人類の幸福に寄与しうる研究者を対象とするShosuke Award、および女性研究者を対象とするUtako Awardを顕彰します。Shosuke Award、Utako Awardの応募規定は下記の如くです。2022 年度は11月22日が締め切り日となっていますので、奮って御応募下さい。

https://www.jsth.org/news/2022年度日本血栓止血学会岡本賞応募/