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映画《Her Life Matters》前史ー未来に続く歴史のためにー

愛読していた小説が映画化され、友人と映画館に見に行ったとする。原作を読んでいない友人は涙を流さんばかりに感激している。しかし、映画に感激しながらも、原作と違うぞ、と争っている自分がいる。私は今それと同じような葛藤の中にいる。

トラネキサム酸(TXA)の産科出血などへの使用を全世界に普及することを目的に映画は作られた。その今日に至るまでの60余年について、情報の取捨選択が行われ、全体をわかりやすくするために事実と違うと認識されかねない記載が生まれていたとしても、それはやむをえないことで、そのために映画の評価が下がることはないのであろう。言いかえれば、TXAがIan Robertsらに出会うまでの半世紀についての追加情報を提供していくのは、映画制作者ではなく、それを知っている他の者の仕事であろう。

筆者らを含むこのHPの責任者は、当時を経験した者ではないが、とりあえず、岡本彰祐・歌子の著書や彼らから直接聞いた話をたどってこの小文を綴る。その時代を直に知っておられる諸先輩によりその訂正と追記を書き足していただけることを期待して。

トラネキサム酸のドキュメンタリー映画 “Her Life Matters”が公開されました

1950年代に岡本彰祐・歌子ら日本人研究者により創出されたトラネキサム酸(http://okamoto.th-project.org/research-2/)。2010年代にはイアン・ロバーツらの大規模臨床研究(CRASH-2:外傷性出血、WOMAN-trial:産後出血、CRASH-3:外傷性脳損傷)によりその効果が証明されたが、開発途上国では産後出血による妊産婦死亡はいまも続いています。トラネキサム酸が病院の薬局にない、家族に高額な医療費が請求される、政府に働きかけて入手できるようにしても医師が処方しない、そのため製薬会社がその国での販売をやめる、という事態の中で妊婦が亡くなっています。基礎研究者による創薬、臨床治験での検証、現場での使用という新薬の開発利用のリレーにおいて、どの国、地域でも、最終走者がバトンを持って走りださなければならない、そのためのドキュメンタリー映画“Her Life Matters”がロバーツらの尽力により、日本語字幕とともに完成しました。

英語版: https://www.herlifematters-documentary.com/

日本語字幕版: https://vimeo.com/615817182

2022年度日本血栓止血学会岡本賞の応募が開始されました

日本血栓止血学会は、血栓止血学に多大な貢献をされた岡本彰祐先生、岡本歌子先生のご好意により、人類の幸福に寄与しうる研究者を対象とするShosuke Award、および女性研究者を対象とするUtako Awardを顕彰します。Shosuke Award、Utako Awardの応募規定は下記の如くです。2022 年度は11月22日が締め切り日となっていますので、奮って御応募下さい。

https://www.jsth.org/news/2022年度日本血栓止血学会岡本賞応募/

Ian Roberts先生がthe Bazalgette Professorship Champion of Evidence Awardを受賞されました。

Ian Roberts先生がthe Bazalgette Professorship Champion of Evidence Awardを受賞されました。https://www.fph.org.uk/news-events/fph-news/fph-announces-the-winner-of-the-bazalgette-professorship-champion-of-evidence-award/

受賞講演:A story of discrimination against women

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)31155-9/fulltext

「岡本賞」受賞講演が行われました。

第41回日本血栓止血学会学術集会(三重県総合文化センター、2019年6月20日〜22日) にて「岡本賞」受賞講演が行われました。

「Shosuke Award」

Venous thrombosis and thrombotic thrombocytopenic purpura

国立循環器病研究センター脳血管内科 宮田 敏行

「Utako Award」

Vitamin K-dependent protein S: Function and etiological significance

中村学園大学栄養学部栄養科学科 津田 博子